ひねくれ作家様の偏愛
「俺に女性ファンがつくと嫌だとか、そういう可愛い理由で?」


先に言いたいことを言われてしまって、私は返答に窮する。でも、海東くんは私の答えを待っている。
目が期待しているもん。

私は肯定のため照れながら頷いた。


「きみのかっこよさに釣られて寄ってくる女子は多そうだから。ちょっと心配」


「俺が浮気するとでも?」


「思ってないけど……嫉妬しちゃうもんなんだよ。きみが好きだから」


急に海東くんが立ち上がった。
ソファを挟み、私をぎゅうっと抱き締めてくる。


「智くん!」


驚いて、思わず二人きりの時の呼び方に戻ってしまった。
海東くんは私の髪に顔をうずめて、うーっと唸った。


「千弥さん、愛してる。でも、これ以上可愛いこと言わなくていいです。取材ほっぽりだしそうになるから。そこにベッドがあるのが、ものすごく惜しい……」


「……コラコラ、変なこと考えないでくださいな。もう、何にも言わないから、離れなさい」

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