ひねくれ作家様の偏愛
忙しいクセに俺のところにはきちんとやってくる。
それは、以前からの習慣でもあり、恋人としての俺への気遣いかもしれない。
プライベートで会えないからせめて……という。
もちろん、それは『仕事』なので、俺も彼女も一線引いているわけだけれど。
俺の表情に落胆でも感じたのだろうか、千弥さんが取り成すように言った。
「ね、よければ明日の朝、お邪魔してもいいかな」
「明日?木曜ですよ。仕事は?」
「有休。どっかで取らなきゃダメだって会社が言うから」
でへ、とだらしなく笑う彼女。
有休も自分で申請できないのは、必要なこと以外にズボラな性格か、職場の風潮か。
まあ、前者だろうな。
千弥さんは大事な業務以外は抜けている。
職場ではジーンズにパーカーでほぼノーメイクなのを、俺はよく知っている。
デスクはそこそこ片付いていても、足元の私物が壊滅的に溢れかえっているのも俺は知っている。
仕事でミスはしないくせに、一緒にいると実家のお母さんらしき人から『あんたこの前の件、どうなってんのよ』なんて電話がかかってくる。
どうやら法事やら家族の用事やらを、頼まれたそばから保留にして忘れてしまう様子。
千弥さんは担当者としては一流だけど、人間的には色々抜けている。
それは、以前からの習慣でもあり、恋人としての俺への気遣いかもしれない。
プライベートで会えないからせめて……という。
もちろん、それは『仕事』なので、俺も彼女も一線引いているわけだけれど。
俺の表情に落胆でも感じたのだろうか、千弥さんが取り成すように言った。
「ね、よければ明日の朝、お邪魔してもいいかな」
「明日?木曜ですよ。仕事は?」
「有休。どっかで取らなきゃダメだって会社が言うから」
でへ、とだらしなく笑う彼女。
有休も自分で申請できないのは、必要なこと以外にズボラな性格か、職場の風潮か。
まあ、前者だろうな。
千弥さんは大事な業務以外は抜けている。
職場ではジーンズにパーカーでほぼノーメイクなのを、俺はよく知っている。
デスクはそこそこ片付いていても、足元の私物が壊滅的に溢れかえっているのも俺は知っている。
仕事でミスはしないくせに、一緒にいると実家のお母さんらしき人から『あんたこの前の件、どうなってんのよ』なんて電話がかかってくる。
どうやら法事やら家族の用事やらを、頼まれたそばから保留にして忘れてしまう様子。
千弥さんは担当者としては一流だけど、人間的には色々抜けている。