ひねくれ作家様の偏愛
「うちもパズルゲームや恋愛シュミレーションだけじゃ廃れちゃうんで、流行りに乗っかって新しい企画を立ち上げたんですけどぉ」


飯田が鞄から取り出した企画書にはゲームのタイトルらしき印刷。
乙女ゲームではなさそうだ。


「うちのレーベルから本格RPGを配信します。そのシナリオの依頼です」


「……俺に……ですか?」


「キャラクターや設定、おおまかなイベントは決まっているんで、海東センセにはやりづらいかもしれませんが」


そんなことはゲームシナリオではよくあることだ。
むしろ、かつて俺が第一線にいた頃のような仕事をこの男が回してくるとは思わなかった。


「どうでしょう?ゲームシナリオライターとして名前は全面に出します。海東センセの復帰作ということで」


「飯田さん、俺のこと嫌いじゃなかったんですか?」


食い気味に聞いてしまった。
我ながら幼稚な質問だとは思った。しかし、裏があるように思えたのだ。
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