ひねくれ作家様の偏愛
②
翌朝5時、玄関のドアが開く音が聞こえた。
早起きしてパソコンに向かっていた俺は、千弥さんを出迎えようと部屋を出る。
ちょうどリビングに入ってきた千弥さんが驚いた顔をした。
「起きてたの?」
「少し早く目が覚めただけです」
千弥さんは徹夜で仕事をしていたせいもあり、普段以上にボロボロだった。
メイクはとれ、顔色が悪い。目の下にはクマ。
俺の部屋に来るからと私服もスキニーパンツにカットソー、トレンチコートと普段より可愛くしてきたのだろうけれど、全体的にヨレている感がある。
特に、適当な食生活でやつれたせいか、スキニーパンツがぶかぶかに見える。
スキニーなのにどういうことだ。
うーん、この勿体無さ。女としての残念さ。
そういうところが好きだと言っても、千弥さんはおそらく信じてくれないだろう。