ひねくれ作家様の偏愛
「うん、酒井先生と『ぷれきす!』の新刊の打ち合わせ行ってくる」
担当中の人気ラノベタイトルを口にしつつ、鞄を手にする。
一応、作家さんと会う時はパンツスーツに着替える私。
ジャケットは着ないし、足元はぺったんこの黒いバレエシューズというなんちゃってスーツスタイルだけど。
「……あ、もうひとつ」
小松がヌーディな唇に人差し指を押し当て、思い出したように言った。
「海東先生からもお電話がありました~」
え?マジで?
私はポケットからスマホを取り出す。
案の定、海東くんからの不在着信が4件あった。
「用件聞いたんですけど、お話になられませんでした。『桜庭さんと直接するから、あんたはいい』ですって!私、絶対あの人になめられてますよねぇ!」
海東くんからの電話はほとんど私の携帯に来る。
こうして稀に社用電話に来ると小松が応対することになるんだけど、ほぼ十割の可能性で海東くんが嫌味でも言って彼女を不快にさせるのだ。
担当中の人気ラノベタイトルを口にしつつ、鞄を手にする。
一応、作家さんと会う時はパンツスーツに着替える私。
ジャケットは着ないし、足元はぺったんこの黒いバレエシューズというなんちゃってスーツスタイルだけど。
「……あ、もうひとつ」
小松がヌーディな唇に人差し指を押し当て、思い出したように言った。
「海東先生からもお電話がありました~」
え?マジで?
私はポケットからスマホを取り出す。
案の定、海東くんからの不在着信が4件あった。
「用件聞いたんですけど、お話になられませんでした。『桜庭さんと直接するから、あんたはいい』ですって!私、絶対あの人になめられてますよねぇ!」
海東くんからの電話はほとんど私の携帯に来る。
こうして稀に社用電話に来ると小松が応対することになるんだけど、ほぼ十割の可能性で海東くんが嫌味でも言って彼女を不快にさせるのだ。