ひねくれ作家様の偏愛
①
海東智の作品は至高だった。
『アフター・ダーク』
ゲームをプレイして泣いたのは初めて。
そのシナリオを作ったのが現役高校生だったと知った時は、それはもう驚いた。
私より4つも年下の男子が書いたなんて。
そんな衝撃と畏敬を大学生だった私は抱いた。
続編も三作目も素晴らしかった。
人の心をえぐるように、人の心に寄り添うように繰られる物語。
私は純粋に海東智のファンだったのだと思う。
ライナーワーク株式会社を第一希望の就職先に選んだことも、海東くんの『アフター・ダーク』が頭にあったから。
運良く入社でき、希望外の編集部に配属された時も、ちょうど持ち上がっていた『アフター・ダーク』書籍化の話に飛びついた。
新人ならではの蛮勇で、上司に提案した。
『原作者でシナリオライターの海東智先生に、書籍版も執筆してもらいましょう!』