ひねくれ作家様の偏愛
当時の海東くんは引く手あまたの大人気シナリオライター。

大手のゲーム製作会社から何本もの仕事が舞い込み、とてもノベライズに時間を割いてくれとは言えない状況だった。

当初は原作者の書き下ろしはすごいセールスコピーだと乗り気だった上長たちも、依頼する段になって大丈夫かという異見が噴出。

私は自身の提案な上、憧れの作品に関わる仕事ということもあって、どうしても諦め切れなかった。

責任を持って口説き落とすからと、他のライターを探すのは待ってもらい、挨拶を兼ねて海東くんの仕事場へ直接依頼をしに行った。

それが私と彼の最初の遭遇。


『あんた誰ですか?』


初めて会った海東智は、高校を出たばかりの歳とは思えないほど、大人びた青年だった。

外見は全く今風の若者。
茶色の髪はやや長めで、さらりと頬にかかるとセクシーだった。
顔立ちが整っていて、一目で女の子には苦労しないだろうなとわかる。
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