ひねくれ作家様の偏愛
どちらも無言のコーヒーブレイクの後、海東くんはやはり打ち合わせには応じず、ソファに脚を投げ出し、漫画雑誌を読む作業に戻ってしまった。
「それじゃ」
私が腰を上げると、海東くんは雑誌から顔すらあげずに言った。
「また来週中に来てください」
「いつも言ってるけど、原稿はメールで送ってくれて構わないよ。他の作家さんだって、データ入稿が基本だから」
「他の作家と一緒にしないでください。俺の担当はあんたでしょ?桜庭千弥(さくらばちや)さん」
私はやむなく頷いた。
私がこんな態度だから、周りは言うのだろう。
桜庭は海東大先生のお守り役、海東坊ちゃんのばあや。
甘やかしすぎだって。
私はため息まじりに頷いて、玄関で靴をひっかけた。
海東くんの住むマンションを後にする。
春の風は埃っぽくて、まだ冷たかった。
「それじゃ」
私が腰を上げると、海東くんは雑誌から顔すらあげずに言った。
「また来週中に来てください」
「いつも言ってるけど、原稿はメールで送ってくれて構わないよ。他の作家さんだって、データ入稿が基本だから」
「他の作家と一緒にしないでください。俺の担当はあんたでしょ?桜庭千弥(さくらばちや)さん」
私はやむなく頷いた。
私がこんな態度だから、周りは言うのだろう。
桜庭は海東大先生のお守り役、海東坊ちゃんのばあや。
甘やかしすぎだって。
私はため息まじりに頷いて、玄関で靴をひっかけた。
海東くんの住むマンションを後にする。
春の風は埃っぽくて、まだ冷たかった。