ひねくれ作家様の偏愛
5月らしい服装に……なってるよね。

メガネもやめて、普段しないコンタクトにした。
髪はワックスをもみこみ、化粧は普段より真面目。
コンビニで初めて買ったグロスをぬってみた。

やっぱり、変かな。

女友達と出かける格好とか言いながら、グロス買った私バカ!
分不相応!


「思ったよりまともな服持ってるじゃないですか」


「え……アリガトウゴザイマス」


思わずお礼を言ってしまう弱虫自分。
だって、絶対貶されると思ってたから。


「なんで、会社ではあんななんですか。そういう格好すればいいのに……いや、まあそれはいいか」


なにやらごちゃごちゃ呟きながらキッチンに戻る海東くん。
とりあえずコンプレックスをいじられずに済んだ。私は胸をなでおろしながら、彼の指定するソファへ向かう。

いつも座る一人掛け用の方に腰掛けると、テーブルにはカトラリーがセットされている。カウンターキッチンの向こうで海東くんが腕を振るっていた。

匂いはものすごくいい。
手際もよさそう。
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