ひねくれ作家様の偏愛

でもなんで？
もしかして、今日の呼び出しは『俺の手料理を食べろ』会？

この前、さりげなく聞いてきた『好きな料理』。
イタリアンは安心感があるなんて答えたけど、私の意見、活かされちゃったりします？

どうしたの海東くん。
今までにない展開に困惑してしまう。

……いや、彼の場合、急に驚くべきことをしたって普通の範囲だ。
以前だって、こんなことはあったのだから。

薄暗いリビングにいるとどうしても、4年前の夜のことが思い出された。
きっと、彼にはどうでもいいこと。
もう忘れてる。

私だって、忘れようとしてるんだけど。


「できましたよ」


海東くんが持ってきたのは魚介類とトマトのパスタ。
そして大皿に載っているのはキンキのアクアパッツァだ。

こんなおもてなし料理……、私には作れない。
っていうか、こんなのぱぱっと作れる女子だってそうはいないんじゃない？