ひねくれ作家様の偏愛
「うん、わかった」


なるべく穏やかな声で答え、仕事部屋のドアを閉めた。

リビングのソファーに戻り、残ったペリエをグラスに注ぐ。
疲れがどっと湧いてきた。

リビングにはシンプルなスタンドライトの灯りのみ。

帰りたい。

ここにいたくない。

悪いことばかり思い出すから。


あんなこと、許すつもりはなかった。

私は後悔している。
彼はどうだろう。

私は忘れようとしてきた。
彼はどうだろう。




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