ひねくれ作家様の偏愛
「ま、俺はそのくらい鈍い桜庭が好きだけどね。ただ、少しは可能性のレベルで考えた方がいいぞ。あのひねくれ坊ちゃんが、どんな想いでおまえを見てるのか」


「どんなって……」


なんとも思ってなんかいない。
そのはず。
海東くんにとって私は……強いて言うなら、面倒な相手。
面倒だから、関係性に変化が訪れないように、必死に今のポジションを守り合っている。


「劣情を昇華してやるのも、ばっさり切り捨てるのも、4年もかけてちゃダメだろ」


なんだか、飯田の言葉は意味深で、私は答えを探せない。
私と海東くんの関係にクチを挟んでくる人間はいるけれど、飯田のは少し種類が違う気がする。
どう違うのかは説明がつかないけれど。

飯田ががらっと空気を変えて言った。


「そういえば、この前のブルーレイ見た?魔女っ子!」


「いや、ガチで見てないです」


「おま……!ひどいなっ!俺は桜庭とJC萌えを語り合おうと飲みに誘ったのに!」


JCって……女子中学生だよね。
私は全力で顔をしかめた。


「きも……」
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