ひねくれ作家様の偏愛
『出会い系でもいい。そのへんでウブな女子高生をナンパしてもいい。処女なんて、そこら中にいる。でも、俺、一応名前が売れてるライターなんで。ネットに変なこと書かれたくないんですよ。そこいくと、桜庭さんなら口が固そうだ』


背中がざわついた。
海東くんの言いたいことがようやくわかった。


『相手してくれません?』


『……え……と』


海東くんが振り向いた。
まるで、私の狼狽を観察しようとでも言うように、下から切れ長の瞳で射抜いてくる。


『俺に処女を捧げろって言ってるんです。あ、それだと俺がちょっと重いな』


そう言って面白そうに笑う。
自分がしている話がさほど重大なものだとは思っていない様子だ。


『いつまでも大事にとっておいてもしょうがないでしょう?俺があんたのバージン貰ってあげますよ』


『何、言ってるの、海東くん』

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