わたし
制服の向こう
こんなはずじゃなかったのに。
今日、初めて思った。
初めて気付いたフリをした。


もう、とっくに「若い子」は過ぎている。

まだ、「制服」という武器を着ていた頃にすれちがっていた、ヒールの音が心地良く、何とな~く甘い香りのする「お姉さん」にはなれていない。

彼氏と別れて5ヶ月。
一応、好きだったから、別れた時は、それなりに落ち込んだ。
こんなときにしか連絡しない友達にも、失恋を宣伝しまくった。
おかげで、次の出会いには事欠かなかった。
それは、現状でも、事欠いていない。


でも、本当は気付いていた。
出会いたい人は別にいることを。

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