わたし
コピー機の前にいる
もう30分経った。

あと10分で昼休み。

「岩下さん、手伝いますよ」
「ありがと~。助かるよー」

横に山崎ちゃんが来た。巻き髪が、今日はちょっと崩れ気味だ。

「岩下さん、彼氏さんって、いくつなんですか?」
「え?何、急に。今年30だよ。」

コピー機の表示は、あと12枚になった

「じゃあ、岩下さんと3つ違い?」
「だね。」

ホチキスの針を補充した

「じゃあ、アレですね。結婚前提みたいな感じですね。」
「それはないよー。まだ2ヶ月位だもん」

あと7枚。

「そっかぁ、うちなんて彼氏が年下で…。
早く結婚したいんですけどね~、私。」
「まだ、山崎ちゃん、25じゃん。いいよ~」
あと4枚

「え~。だって、特にしたい事もないし。普通の事務とかって、行ける時に、行かなきゃ。先厳しそうだし…」「あは。分かってんじゃ~ん」

あと、1枚…

「まぁ、やりたい事あれば、別ですけどね~。行動するにも、もう、厳しいですもんね」
「だよね~。後は嫁に行くだけだからね~。」

コピー機は、用紙切れになった。

「うわ!後1枚なのに~。山崎ちゃん、いいよ。ありがと。後は、しておくから」
「は~い。じゃあ先にお昼行きますね」

補充紙の包装紙をバリバリ破り、トナーに投げ入れて、スタートボタンを連打した。

そうして、最後の1枚は出てきた。
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