わたし
電車に揺られながら、ビルの看板を見ていた。
そこに重なる自分を見た。

今日、仕事終わって、懸命に塗り直したファンデは、モスコでよれている。
終電1本前の電車の中にいる私は、誰がどうみても、飲み帰りのお気楽OLだ。

窓ガラスに映る、斜め後方の女の子が、鞄の中から、クリアケースを出した。
そのケースの中から、さらに何枚かの書類を出して膝の上に乗せている。

何故だか腹がたった。何にたつのか分からないが、腹がたった。

また視線を流れる看板に戻した
< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop