初恋しました
きゅ、と唇を噛みしめる。
ただ、わたしは木嶋くんを見つめた。
「……図書館」
「………?」
図書、館……?
なぜこんな状況で図書館という単語が出てくるのかが分からず、一瞬キョトンとなる。
そんなわたしのことは気にする素振りもなく、木嶋くんは話を続ける。
「俺、下に小学生の弟がいて、2年前ぐらいに弟が夏休みの読書感想文を書きに図書館行ったのを迎えに行ったんだ。
そのとき、弟が話してた。『手伝ってくれたお姉ちゃんがいた』って。
明日も会う約束してるって嬉しそうで、俺はよかったなって返事して。
次の日、俺は友達と約束してたけど友達が急用で来られなくなって、暇だったから弟に会いに図書館まで行った」
そこで一旦言葉を切って。
木嶋くんはどこか緊張した顔でわたしを見つめた。
「弟はすごく楽しそうに何か話してて、その相手も、楽しげで。
笑顔が、すごく印象に残った」