初恋しました
ふ、と木嶋くんは眉を下げて目元を和らげる。
とても優しい表情で、胸がドキドキと忙しなく動く。
「結局そのときは話しかけることができなくて、そのまま家に帰ったよ。
弟が帰ってきて、今日はこんなことがあったって話に、図書館の『お姉ちゃん』の話もあった。
その話を聞いてるうちに、なぜか話しかけなかったことに後悔した」
そっと目を閉じる木嶋くん。
まるでそのときのことを思い出しているような感じだった。
「夏休みの間も、そのあとも、図書館に足を運ぶのが俺の楽しみになった。
でも、ずっとずっと話しかけたいと思ってもなぜかできなくて、遠くから見てるだけで。
自分でもヘタレだと思ったよ、好きな子に話しかけることすらできないなんてさ」
はは、と笑うけど。
…………え、好きな、子?
今、すごくさらりと暴露してたけど、木嶋くん、好きな子いたの?