初恋しました
ズキンと痛む胸。
ショックからか視界が揺れたような気がした。
でも、ここで泣くなんて狡いように感じて。
きゅ、と唇を噛みしめて我慢する。
「でも、この手に届かない距離にいたと思ってた子が、今は手の届く範囲にいる。
そんなの、またとないチャンスでしょ?
だから、今度はちゃんと手を伸ばして捕まえておくよ」
近づく距離に驚いて目を閉じると、瞼に温かいものが触れた。
目に浮かんだ涙がそっと拭われる。
「これで、俺が笹本さんの名前知ってる答えになった?」
「、え?」
「え」
キョトン、とするわたしに木嶋くんも目を見張る。
「……しまった。ここまでアピールして気づかないほどだもんね。
笹本さんには回りくどく言っても伝わらなかったか」
「……?」