初恋しました
木嶋くんの言っていることがよく分からない。
どうして、わたしにこんな話をしたんだろう。
好きな子がいるなんて、知らない方がよかった。
それは知ったときにはショックかもしれないけど、知らなければ、わたしはまだ夢を見れていたのに。
再び揺れる視界を映さないように目を閉じると、目尻に何かが触れる。
柔らかくて、温かいもの。
そしてそれは、微かに浮かんだわたしの涙をすくいとった。
何度も触れるたびに目尻から額や頬にも触れて。
くすぐったい……
何が触れているのかが気になってそっと瞼を開けるけど、すぐに後悔した。
「きゃ……っ」
本当にすぐ近く、目の前に木嶋くんの顔があって。
カアァッ、と顔に熱が集中する。
木嶋くんの瞳の中に、真っ赤になったわたしが映っている。