初恋しました



硬直して動くことができないわたしに、木嶋くんは笑って額に唇を押し付けた。


柔らかくて、温かい感触。


さっきと、おんなじ……



「え!?笹本さんっ」



へなへなと足の力が抜けて、わたしはペタンと床の上に座り込んでしまった。


顔から、火が噴き出しそうなぐらい熱い。


だって、何度も何度も触れたものは木嶋くんの唇だったわけで。


好きな人にそんなことされて、平静でいられるわけがない。



「笹本さん、大丈夫?」



木嶋くんはしゃがみこんでわたしと視線をあわせる。


そんなところも優しさを感じてキュンとくるけど、今はそれよりも羞恥が強くて。


わたしは何も言えずにただ視線をさ迷わせる。



「俺は、笹本さんを困らせてばかりだね」



その言葉にえ、と思っておずおずと視線を木嶋くんとあわせる。





< 14 / 47 >

この作品をシェア

pagetop