初恋しました
少し眉を下げている木嶋くんは、どことなく傷ついているように見えてしまって。
その表情に、胸の奥がズキリと痛む。
思わず、わたしは木嶋くんの制服の袖をギュッと掴んだ。
「で…でも……嫌じゃ、ないです……」
蚊の鳴くような声でそう言うと、木嶋くんは驚いたように目を見張った。
自分の大胆な発言に、自分でびっくりして。
恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。
……でも、困ってるのは否定できないけど、決して嫌なわけじゃないんだ。
当たり前だよ。
だって、わたしは木嶋くんのことが好きなんだから。
「……ごめん。そんなこと言われると期待するんだけど」
木嶋くんは手で顔の下半分を覆ってまるで隠すようにする。
その頬がほんのりと色づいているように見えて、わたしの胸は素直に音をたてた。
思わずぽーっと木嶋くんに見とれる。