初恋しました
その視線に気づいたのか、木嶋くんはわたしを見てどこか真剣な顔になって。
何を言われるのかと緊張からドキドキと心臓が動く。
「ちゃんと、俺の今の気持ち言うから。
だから笹本さんの素直な気持ち、教えて?」
え、と返す前に体が引っ張られて。
目の前には見慣れた制服がある。
わたしは優しい体温に包まれていた。
「好きなんだ。
ずっと前から……七織(ななおり)のことが、好きだったんだ」
耳元で聞こえた熱っぽい声に、体中の血が沸騰したかと思った。
これは、夢なの?
初恋の人が、木嶋くんがわたしを好きなんて……
そんなお伽噺みたいなこと、あるわけないのに……
「聞かせてよ。七織の気持ち」
「っ……」
なのに、この心に浸透するような声が、これが現実だと教えてるみたいで。