初恋しました
しおらしく小首を傾げる珀の姿は、まぁかわいいが。
「無理だ」
「なんでぇ!?」
いいじゃ〜ん、見せてよぉ、と珀は俺の腕を掴み揺さぶるが、無理なものは無理だ。
「兄ちゃんのいけずぅ〜」
「いけずって、お前な……」
どこで覚えたその言葉。
いやいや、そんなことよりまずは話を聞け。
「そもそも俺の課題に読書感想文はないんだよ」
「うそだ!!僕知ってるんよ。
兄ちゃんの課題のプリントの中にはちゃーんと読書感想文が入ってた!」
……なんだその自信。
まぁ確かに入ってはいた。
でも、なぁ……
ため息を溢しながら、(恐らく珀が見たであろう)課題プリントを差し出す。
受け取った珀はえへん、と胸を張って読書感想文の文字を指さした。
うん。書いてあるな。
「珀、ここ読め」
珀の指している上をトントンと軽く叩く。