初恋しました



わたしなんて本を読みに家の近くの図書館に足を運ぶけど、いつも高いところは司書さんにお願いして取ってもらっている。


申し訳ないけど、これは自分ではどうしようもできないことで。


とりあえず希望は捨てず、1日1杯の牛乳は欠かさず続けている。



「あの……ありがとうございました」


「いいよ、ついでだし」



ついで?


そういえば、木嶋くんが読んでいた本ってこの辺にあったものだっけ。


だからわたしのところにも……


ついでとは言え、余計な手間をとらせてしまったんだと思うと、更に申し訳ない。



「ここ、閉めるんでしょ。笹本さんも早くしたら」



そうだ、早く鍵を返さないと。


頭ではそう思ったのに、なぜか口が勝手に動いてしまって。



「あの、どうしてわたしの名前を知っているんですか……?」





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