初恋しました



驚きからか目を見張る木嶋くん。


その顔を見てハッとする。


わ、わたしなんてことを言ってしまったんだろう。


気になることには気になるけど、別に聞くほどのことでもないのに。


今のは忘れて下さい、とわたしが言う前に、木嶋くんが口を開いた。



「知ってるよ。ずっと前から」


「………ぇ、」



今度はわたしが目を見張る番だった。


それどころか、驚きすぎてきっとポカーン状態で間抜け面をさらしてしまった。


固まるわたしに、ほんの少しだけ木嶋くんは吹き出して。


男の子の中でならともかく、女の子の前でそんな風におかしそうに笑うのなんて初めて見た。


珍しい木嶋くんの姿に見惚れてしまう。



「気になる?クラスメートでもない俺が、笹本さんのこと知ってんの」


「あ、えと……」



そ、それは、気にならないと言ったら嘘だけど。


でも、聞きたいような、聞きたくないような……





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