初恋しました
なぜか楽しげに微笑んでいる木嶋くんを避けるようにわたしは俯く。
「気にならない?」
「!!」
俯いたわたしの顔を木嶋くんが覗き込む。
すぐ近くに顔があるその距離に、思わず頬に熱が上がった。
「き、気になんて、ならない、です……」
赤くなっているであろう顔を見られないように、本棚に体を寄せて木嶋くんと距離をとる。
そのままこの場所から逃げるように一歩を踏み出した。
でもその前に木嶋くんの腕に阻まれて。
まるで逃がさないというように木嶋くんの腕と本棚に囲われる。
「じゃあ、気にして」
「あ、あの……」
「笹本さんに、気にしてほしい」
「……っ」
その言葉に、カアァッと顔だけじゃなくて体まで熱くなった。
でも……でも、そんなことありえないよ。
だって木嶋くんはこの学校で一番人気の男の子だもん。
わたしなんか、本気で相手にするはずない。