初恋しました
指先が冷たくなっていく。
「は、なして、下さい……」
震える声でなんとかそう言葉を紡ぐ。
わたしと木嶋くんとは、全然釣り合わない。
そんなことちゃんと弁えてる。
でも、浅ましくもわたしの叶わない夢を思ってしまうなんて。
自分が恥ずかしい。
ジワリと視界が滲む。
震えながらじっと俯いていると、視界の端で木嶋くんの腕が下ろされたのが分かった。
ホッとしたのも一瞬で。
あっと思ったときには、両側の頬を手で包まれ、顔が上げられていた。
目の前に、木嶋くんの綺麗な顔があって。
真っ直ぐな瞳に捕らえられて、心が震えた。
「なんで、泣いてるの?」
「……っ」
そんなの、言えるわけがない。
言ったら、わたしの想いが木嶋くんに知られてしまう。