# E X O
それから俺は、踊った踊った踊った
でもやっぱり満足行かなくて
むしゃくしゃしてしまう。
帰るときに、肩をポンポンってして
『がんばれ』って言ってくれたベク。
そんな応援してくれてる人たちのためにも
もっともっと上手に踊れるようになりたい。
なりたいのに、
体は動いてくれなくて、もう嫌になる。
「はぁ……」
自然とため息がでてきて、
動きを止めると今まで感じなかった寂しさを身に沁みて感じた。
俺がメインダンサーやのに
こんなんじゃ…………………
もっと頑張らないと
もっと上手に踊らないと
それに俺の価値はあるのに、
ダンス上手くなかったら俺………っ
思っても思っても、
踊っても踊っても、
何してもうまくいかなくて。
急に彼女の声が恋しくなって、
電話した。
「もしもし、俺、俺」
『なんですかぁー俺俺詐欺ですかぁー』
ケラケラ笑いながら、冗談をかます彼女に
癒やされる。
「あのさ、……やっぱいいや」
『なにそれっ、あ、いつ帰ってくる?』
「もうすぐ、帰るから待ってて」
『はーい、待ってまーす』
アホみたいな喋り方。
ちょっと元気が出たから、
一曲通して帰ろうかな。