深夜26時はキミと一緒に、
#5-2

「早苗先生...?」

俺の袖を掴む彼女の手から、細やかな震えが伝わってきた。

切なそうな顔でこちらを見つめる早苗先生にはどこか洗練された色気を放っていた。

...思わず俺が、慰めてあげたくなるほどに。

「行かないで...、下さい。」

_________ッ、


その声は震えていた。
彼女のか細い声で伝える酷く甘い訴えに、俺の心臓がドクリと跳ね上がった。



もしかして、

...これって、期待していいのかな


「...行きませんよ。何処にも。」

俺はそう言って早苗先生の手を握り、指を絡ませた。


早苗先生の指から段々と震えが治っていくのがハッキリ分かった。

チラッと早苗先生の顔を見ると、案の定赤くなっていた。



...でも、何か違う。
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