深夜26時はキミと一緒に、
その赤く染まった頬に気を取られていたが、よく見ると瞳には涙が浮かんでいることに気が付く。


一瞬キラリと光ったそれは、やがて彼女の頬から静かに流れた。

早苗先生...泣いてる?

そう分かった俺はそっと、早苗先生の頬の涙を指で拭った。


「あの、早苗先生...?」

「やだ...。あの、何でもないんで、

「嘘つかないで。」

俺は涙で少し濡れた早苗先生の瞳から目を離さなかった。


「...ぁ、あのッ、わたし...私、お酒が入ると、すごくベロベロになって...。」


「・・・ぅん。」

「頭が冷えた時に何だか...途端にこう、無性に寂しくなるの...、自分でも全然訳わかんなくて...!!」

早苗先生は下に俯いた。
顔の表情はわからけれど、段々とあつくなっていく声に彼女の心が読み取れる。

「・・うん。」

「こんなにも、誰かにすがりたくなってしまって...。」

「・・・、ぅん。」

...だから俺に。
そう思った途端、

胸が苦しくなった。



さっきまで期待していた甘く薄っぺらな欲望が、酷く馬鹿馬鹿しく思えた。
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