深夜26時はキミと一緒に、
「ほぇ、」

どストレートなその質問に力の抜けた返事が口から溢れる。
なにその、学生の頃の定番質問は。


「何だよ。」


「いえ、ゴホン、ゴホッ!
...えっと、セクシャル・ハラスメントですよそれ。」

「おい、ふざけんなー?俺をそっち側にすんなよ。...まぁ、それは置いといて。」

「好きな人かぁ.....。」

自分でそう口にすると、頭に1人の女性が浮かんだ。

...早苗先生、ね。

「まぁ、そりゃー...居ますけど。」

「ふ〜ん。もしかして...さぁ、早苗だったり??」


「...え、」

心の中を見透かすように言われてたじろぐ。
...うそ、今なんて?


「あぁ〜。もしかしてっつったが、図星?」

小田先生がこっちを見て笑った。
分かりやすいねぇ、の一言に少しカチンときた。


「な、じゃぁ小田先生は?」


「俺?いるよ。ずーっと、片思いだけどな?はは、笑えるよな。」


自嘲的に笑う小田先生に俺は意外だ、と感じた。


一途に片思いだなんて、意外と純情...。


「笑えることなんて無いですよ。変わらず好きでいるなんてカッコいいです。」

「そーか?はは、どうだかなぁ...。」


小田先生の声が少し自信なさげに小さくなる。

そして間を置いてから聞こえるか否かギリギリの所で呟いた。




「...まぁ、俺は早苗が幸せなら...俺も幸せだからな。」



「.........ぇ、」


切なげに呟いた彼の表情に、チクりと胸が痛んだ。


「あ"?何か聞いたか、そりゃ気のせいだな。」

そう言ったきり小田先生はもう何も言わなくなった。


それじゃぁ、小田先生も...早苗先生のこと?
じゃぁ、ひょっとして小田先生が俺を誘ったのってこれを聞くため...?




...そして俺たちはこれ以上言葉を交わすことはなかった。
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