私はどうすることもできず、
ただずっと『ごめんなさい…ごめんなさい…』と繰り返し言うしかなかった。



すると、一瞬のうちに
暖かい温もりに包まれて
その暖かさは直樹の母親のだと気づいた。


『瑠那ちゃん…。
辛かったよね。
苦しかったよね。
誰よりも苦しい思いをしたのは
瑠那ちゃんなのに、私も阿里沙のお母
さんも瑠那ちゃんを許せる
自信がないの。
この事故はどうしようもなかったのに
誰のせいにも出来ないことなのに
ごめんなさい…。
直樹はね、家に帰ると何時も何時も
瑠那ちゃんの事で一杯で、
「今日は瑠那笑ってくれたな。」とか
「瑠那は俺が守るんだ。」とか
ずっと口に出せば瑠那ちゃんの事で…
でもね、
直樹は幸せそうだったよ。
そんな直樹が瑠那ちゃんを守りきった
事は本当に誇りに思うの…。

だけどね…、

私たちもね…、

直樹はたった一人の息子なのっ、
できるものなら
今すぐ直樹を返して!!』







私は親友を殺しただけじゃなく、




大切な友達の両親から
最愛の子供を奪ってしまった…。







…私…何で存在してるんだろう…。


…これ以上、人を傷つけるのは…嫌ッ…。



…誰も私に…近づいちゃ…駄目…。











葬式が終わると同時に、
二人のお墓参りも、二人の両親とも
会うことは禁止にした…。









私は“悪女”だ



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