君のために歌う歌
「夏はいいけどね、冬が心配。」



宙子は陽翔を、この部屋で一番まと
もなパイプ椅子に座らせた。


もっとも、ただのパイプ椅子なので陽翔にその気遣いが伝わったかは謎である。




「この前来たときはひろと申請書の事しか考えて無かったけど、この部屋変な物がいっぱいあるね。」




陽翔はキョロキョロしながら言った。




申請書と並べられて、自分が何の位置だか分からなくなりながらも宙子は照れた。





「ね、変なものいっぱいあるでしょ。
基本的にはいらなくなったものがしまわれてるみたい。

郷愛は時々『終焉の地』って呼んでるよ。




思わず郷愛を登場させてしまった。


(私出さないでもっと交流しろ地味子!!!)と脳内郷愛が叫ぶ。





「終焉の地かー。郷愛ちゃんは面白いよなぁ。」
 


陽翔はしみじみといった。


宙子は自分でふっておきながら、郷愛が褒められてちょっと悔しく思った。


< 126 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop