君のために歌う歌
1、2、3……と、陽翔は刺されたところを数えながら熱心に薬を塗っている。




その様子を、宙子は壊れた椅子に座りながら眺めていた。




半袖から伸びた、そのかゆそうな腕は男らしい筋肉質なものだった。




私腕フェチかもしれない、と、くだらない事を考えながら足元に目をやった。



裾がロールアップされた足首には、ミサンガが巻かれていた。




ミサンガ……




宙子の頭に「彼女」の二文字が浮かぶ。




(そもそも、こんなイケメンに彼女がいない訳が無いじゃないか。何がっかりしてるんだよ地味子。)




宙子は、ガッカリしている自分を叱咤した。
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