君のために歌う歌
「ねぇ、雨の日に話してくれた高橋って、章のことだよね?」
「そうだよ。」
雨の日のことなんか、忘れていたと思ってた宙子はドキッとしながら答えた。
「章とはどういう関係なの?」
陽翔は、真っ直ぐな瞳で聞いてくる。
深い意味はない、深い意味はないと自分に言い聞かせながら宙子は答えた。
「幼なじみよ。家が近所で、ちっちゃい時から遊んでるんだ。」
「へぇそうなんだ!」
陽翔は目を輝かせながら言った。
「いいなぁ。幼なじみ。憧れる。」
独り言のように、噛み締めるように言った。