君のために歌う歌
「友達かぁ……。」



陽翔はそう言うと少しだけ黙り込んだ。



「うん、友達はたしかにたくさんいる。

だけど、親友はいないんだ。」



陽翔は淡々と言った。




「そうなんだ……。」




真面目な様子に、宙子はそれしか言えない。




「転校が多いからかな。
なんか、親しくなる前に、バイバイになっちゃう。」




「そんなに転校が多いの?」



「おじいちゃんがアメリカ人でね、親父はアメリカで育って、日本人の母さんと結婚したんだ。
おばあちゃんと、母さんが日本人てことね?

それで、仕事の関係で小さい頃からアメリカと日本を行ったり来たりを繰り返して……」




「ままま、待って!!!」



宙子は話を遮った。


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