君のために歌う歌
「森山さんって呼んで。
私保健委員だけど…男子と行けば良かったのに。
影葉くんもうみんなと仲良さそうじゃん。」
気持ちとは裏腹に、つっけんどんな言葉が出る。
「まぁまぁそう言わず、連れてってよ。ひろこちゃん!」
陽翔はまた、子供のような笑顔で言う。
「う〜、分かったから、ひろこちゃんやめてくれない?」
恥ずかしさが顔に滲んでるんではないかと、宙子は顔を片手で覆った。
陽翔はその手首を掴み、手のひらを顔から外させて、目を合わせて言った。
「じゃあさ、お互いに、ヒロ、って呼ぶのはどう?」
キラキラと輝く目を間近に見て、顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。
手首を掴む力は意外と強く、男子だなと思った。
早く手を離して欲しくて、宙子はコクコク、とうなづいた。
「やった!嬉しい!」