君のために歌う歌
「周りを囲んでいたやつも、キャーキャー言ってた子も、俺が居なくなれば俺のことなんかすっかり忘れるんだ。

俺は、なんかそれがとても寂しい。


だから、俺は音楽で爪痕を残してやりたい。

出会った人みんなに、いつも俺を思い出して欲しいんだ。

 
友達になれないなら、ファンになって欲しい。

俺はいつまでも大事にするから。



だから、歌を歌いたい。」




陽翔は、遠くを見ながら話していた。




「……って、最近まで思ってたんだけど……」  




「え?」






言葉を切った陽翔は、宙子を見つめた。
 


「最近は学校も楽しいし、一人の為のものになりたいと思う時もあるんだ。」



宙子は、あ、彼女か、と思い、足元のミサンガを見た。



「想いはきっと届くよ。」



宙子は、苦い気持ちでそう言った。


< 140 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop