君のために歌う歌


「なぁ宙子。それほんとに彼女だったのか?」
 


高橋がポツリと言った。




「え?」


「話して確かめたのか?」


「そ、それは……」




高橋はため息をつく。



「お前さ、それ早とちりかもよ。親戚とかだよきっと。」


「で、でも楽しそうに腕くんで歩いてたよ…?」


「お前さ、」


高橋は宙子の方を少し向いた。



「好きでもないやつに、会えたらいいねなんてわざわざLINEしねぇよ、男は。

これだから鈍感は困る。」



「え、え、そうなのかな?でもだって私だよ…?こんな地味朝顔だよ?」



宙子は浴衣の袖を持って見せた。
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