君のために歌う歌
高橋は、ハァ、とため息をついた。



そして、宙子をお賽銭箱の脇へ押し倒した。



「!?」




そして囁くように低い声で言った。



「お前さ、自分が可愛いこともっと自覚した方がいい。危ない。」



そう言って、宙子を抱き起こした。



突然のことに混乱し、顔が真っ赤になる宙子。



「今みたいにな、男はいつだって隙うかがってんだ。

男の力にかなうわけないんだから。

ほんとにあぶねぇぞ。

そんな浴衣姿で。可愛くして。真っ暗な境内に一人なんて。

俺に感謝して欲しいし、

俺の告白にも気づけよ。」




宙子は依然として混乱していた。
< 167 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop