君のために歌う歌
写真を撮ろう。
ひまわりが、ついにたくさん咲いた。
宙子、郷愛、高橋の植物同好会のメンバーと、ギターを持った陽翔がそこにいた。
郷愛が、例のセミナールームの裏で歌う陽翔を発見し、声をかけて呼んできたのだ。
もちろん宙子は、来た時点で陽翔が歌っている事に気づいてはいたが、あえて何も言わなかった。
しかし、郷愛により、陽翔はつれてこられた。
陽翔も、同好会の3人に好感を持っているようで喜んでやってきた。
「すごいねひろ!!満開だ!!」
陽翔は嬉しそうに宙子に笑いかけた。
宙子は目をそらして
「そうだね。ありがとう。」
と作り笑いで答えた。
バン!と背中を叩かれる。
「いやほんとにすげぇよ宙子!手伝わなかったのにこれはすごい!」
叩いたのは高橋だった。
(……分かってるよ。)
宙子はそう思いながら、背中をさすった。
「ワシも手伝わなくて……いーつもすまないねぇ……」
郷愛がおじいちゃん口調で言う。
「それは言わない約束でしょ。」
宙子はそれにのって娘口調で答えた。