君のために歌う歌
「夏の陽射しは厳しいからね!!ちゃっちゃとやるよ!!!」



郷愛の掛け声で、ヒマワリを背景にしての写真撮影が始まった。



「イーヨーイーヨー可愛いよーちょーっとセクシーに胸元強調してみようか!!」



「マネージャーさん、このカメラマンさん気持ち悪いです。」



「いや、俺は影葉さんのマネなんで。」


3人の掛け合いに陽翔はプククと笑う。



(ヒロって笑い上戸なんだな。)



宙子はチラリと陽翔を見た。


陽翔は宙子のことを見ていたのでもちろん目が合った。



声に出さずに、「かわいいよ」と、口元が動いた。



ボッと顔が熱くなる。


思わず頬を手の甲で触った。




「ほへ?宙子大丈夫暑い?」


ファインダーを覗いていた郷愛は顔をあげた。


「え!ううん、大丈夫大丈夫!」


「ほんと?じゃあ、笑って笑って!」



再びファインダーを覗いた郷愛の後ろで、陽翔が両手の人差し指で口をイーっと引っ張って変顔をしてみせた。



宙子は思わずアハハっと笑った。

カシャッと、シャッターが切れる音。

< 172 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop