君のために歌う歌
「くそー、腹立つ位イケメンだなー。」
従順にレフ板係をしていた高橋が、悔しそうに言った。
「高橋もついでに撮ってやるよ。ホレそこに立て。」
「俺ついでかよ!!しかもイケメンの後かよ…!」
陽翔の後に立たされた高橋はむず痒そうだった。
「なに、あんたにゃあんたの良さがあるよ。ねぇ宙子?」
郷愛は宙子に話をふった。
宙子は先日のことを思い出してドキッとした。
「う、うん!高橋は高橋らしくしてるのが一番だよ!」
「そんな素直宙子に言われたらテレちゃうねぇ。」
本気だか冗談だかわからない調子で高橋は言う。
その頬は心なしか赤くなったように見えた。
「ってか、俺はそんな撮らなくていいからよ、宙子と郷愛で撮ってやるよ。」
ホレ、カメラ貸せ、と高橋は郷愛に手を出した。
「えー、高橋に一眼貸したくなーい。」
郷愛はそれを拒否した。
「ガビーンそんなに信用ない俺!?」
ガビーンと口で言ったのがポイントだな、と宙子は胸の中で勝手に思っていた。
陽翔はフフフ、とやっぱり嬉しそうだ。