君のために歌う歌


「俺が撮ってあげるよ。綺麗に撮れるよ。アイフォーンならね。」



真顔でふざけた陽翔に郷愛はブフォっと吹き出した。


高橋も釣られてプッと笑った。



宙子は突然の冗談に笑い損ねてジワジワ来ている。



「イケメンもふざけるんだなーお願いするわ。アイフォーンなら間違いない。同好会3人撮って!」



郷愛がフヘヘヘと変な風笑いながらお願いした。



陽翔はOK、と言うとiPhoneを撮りだし、ヒマワリの前でピースをする3人を撮った。



撮った写真を確認した陽翔は黙った。


そして


「……俺も混ざる。」



言うが早いか、カメラをインカメラにして、自分も入れた4人を自撮りした。



「リーチが長いな!自撮り棒いらねぇじゃんうらやまし!」


郷愛が叫んだ。



(その写真、私も欲しいな…)



と宙子が思った瞬間、


「あとでLINEで送るね。」


陽翔が言った。



友達となら当たり前の事かも知れないが、宙子にはそれはとても嬉しかった。



風が吹き、ひまわりがわずかにざわっと揺れる。


背の高いひまわりもなんだか嬉しそうに見えた。

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