君のために歌う歌
「でさ!ひろと郷愛ちゃん!浴衣着てきてよ!」



陽翔は嬉しい時の犬のような感じで宙子と郷愛の方を向くと言った。



「私は写真撮るから無理でござるパス!」



郷愛は手でばってんを作って言った。



「そっか!それは仕方ない…

ひろは!?」



陽翔はまだしっぽをふっている。



「わ、私は別にいいけど……」




あの、ださい朝顔でいいなら。




陽翔は更にぱっと顔を明るくして言った。



「良かったー!あのね、浴衣で来るとドリンク代がタダになるんだよ。

ほらチケット見て、『〜対バン青葉祭〜』って書いてあるでしょ?そうゆう企画なんだ。」



陽翔は嬉しそうだった。



宙子は、なんだそんなことかと拍子抜けした。



郷愛は、それなら浴衣で行くか……とブツブツ言っている。



「男は?」



高橋が聞いた。


「男はダメ。」


陽翔がサッと答える。


「女尊男卑だ!!」


「レディーに優しいだけだよ。女の子が浴衣で来てくれると場が華やぐしね!」



陽翔は、それに、と、


「この前ひろの浴衣、見損なっちゃったしなァ。」


そう言った。
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