君のために歌う歌
この前。そうそれは夏祭りのことだ。



宙子の胸に鋭い石が刺さったような気持ちになる。



「そうだね、会えなかったね。」



本当は見かけたんだけどね、と言う内心を隠して宙子は淡々と言った。




高橋はそれを横目で見た。



郷愛は亀のことを考えていそうだった。




「俺、ひろからLINEくるかなぁと思ってたんだけどなぁ。」




そう言う陽翔の足元を宙子は睨んだ


今日もしっかりついている、ミサンガ。



「ご、ごめん、充電切れちゃっててさ。」



宙子は言った。

もちろん嘘である。



「そっかぁ。それじゃしょうがないねぇ!
でも俺、ひろ見つける自信あったのになぁ。」



陽翔は本当に残念そうだった。




宙子はアハハと苦笑いをした。






見かねた高橋が口を開いた。


「俺、女の子と歩いている陽翔見たんだけど。」
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