君のために歌う歌
「はい、みんな席につけー。ホームルームはじめるぞー。」




担任の田崎先生が入ってきた。




田崎先生は30代後半の体育教師で、この薄ら寒い日にも半袖、半端な丈のズボンといった出で立ちだ。




「今日はみんなに紹介する人がいます。はい、ほら入って。」






教室の前の扉から、少し身をかがめて、学ラン姿の男子が入ってきた。




扉の上にぶつかる、とまでは行かないが、少し身をかがめたくなるほどの身長なのだ。





女子が、きゃあっと小さく黄色い声をあげた。





色素の薄い髪色。




少し長め髪は、天然なのかカールしていた。




通った鼻筋、薄い唇。





二重まぶたに、綺麗な瞳。






誰がどう見てもイケメンだった。





その男子は先生の隣に立ち、温和な表情を浮かべていた。

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