君のために歌う歌
その日の授業は、男子女子に分かれてバスケだったが、陽翔の活躍ぶりは横目で見てもすごかった。



「私、ダンクシュート決める人初めて見た…」




と、隣にいた女子が呟いていたが、宙子も激しく同意、といった気持ちだった。



宙子は背が低い。



運動神経は普通くらい。



ドリブルを少しだけして、運動部の女子にパスをする位の、後ろめたくも楽しくもない時間を過ごすのだが、




陽翔は相手からボールを奪い



巧みなボールさばきで相手を抜き



何度も点数を重ね、



誰をも圧倒的に凌駕していた。





学ラン姿を着ていると分からなかったが、陽翔は意外と筋肉がある。




その腕や脚や胸は、鍛えられた男子のものだった。




さっき掴まれた手首を、思い出した。
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