君のために歌う歌
帰り際、彼女たちと一緒に昇降口まで行くと、陽翔にバッタリ出会った。


宙子はなんとなく気まずかったが、リーダー格の女子の秋乃は


「ひろとじゃん!今帰り?」


と声をかけた。


「うん。みんなは準備やってたの?」


「そうだよー!宙子ちゃん一人にやらせる訳にはいかないからね!」


「いいねー。俺も明日は手伝いたいな。」


「残念、今日の仕事は終わっちゃいましたー。」


「え、そうなのひろ?」


陽翔は突然宙子に話を振ったので、宙子は驚いた。


「あっ、えと、明日は明日でやることがあるよ…!」


「ほんと!それなら良かった。」


陽翔は嬉しそうに言った。



えーそうなのー?と、秋乃達は少し不満そうだ。


陽翔は宙子から目をはなさずに、自分の頭をちょんちょんと指すと、口パクで「かわいい」と言った。



宙子にそれは伝わり、恥ずかしくなったが、とても嬉しかった。
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